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2026年5月24日

DX推進で社内を動かすには?副部長が経験した「壁」と突破のヒント

執筆: ただの会社員

DX推進で社内を動かすには?副部長が経験した「壁」と突破のヒント
この記事でわかること
  • DX推進で現場が感じる「3つの典型的な壁」とその背景
  • 副部長として実際に試みた社内合意形成のアプローチ
  • 「ツール導入≠DX」という現場で痛感したこと
  • 抵抗する人を「敵」にしない、巻き込み方の工夫
  • 社内で影響力の強い人を最初に味方にする戦略とその効果
  • 社長からヘッドハンティングされたDX担当が感じる「期待に応えたい」という原動力
DX推進で社内を動かすには?副部長が経験した「壁」と突破のヒント

DX推進という仕事は、AIや最新ツールへの興味よりも、「人を動かすこと」の難しさと向き合う仕事だと私は感じています。DX推進部の副部長として数年間、現場でさまざまな施策を試みてきた経験から、リアルな「壁」とその対処について書いておきたいと思います。

もう一つ正直に言うと、DX推進はすぐに目に見える効果が出ることは少ないです。「やったから翌月に売上が上がった」という単純な話にはならない。だからこそ、粘り強く続けられる「原動力」が必要だと感じています。私の場合、その原動力は社長との関係にあります。


社長の言葉が背中を押してくれた

私はもともと、社長にAI/DX推進を任せてほしいとヘッドハンティングしていただいてこの会社に入りました。その社長に、あるとき推進の難しさを正直に話したことがあります。

返ってきた言葉は2つでした。

「できない理由を考えているから困っているんだ」

「何かを進めるにあたって障壁があったら、俺の名前を出してくれていい」

この2つの言葉は、今でも節目ごとに思い出します。前者は、壁にぶつかったとき「どうすればできるか」を考え直すきっかけになります。後者は、社内調整で詰まったときの「保険」ではなく、「社長が本気でやろうとしている」という意思確認として受け取っています。

DX推進のためにヘッドハンティングしてもらった以上、その期待に応えたいという気持ちは強くあります。AI/DXが会社のビジネスを加速し、売上が上がり、社員も充実感を持って働ける——そういう循環を作れたら、私自身も「この仕事をやってよかった」と思えるはずです。

6月21日からは来期がはじまり、私も経営会議に参加するようになります。社長が描く会社の未来を、AI/DXという手段で一緒に実現していきたいと思っています。


3つの壁と突破のポイント

典型的な声突破のポイント
①温度差「うちは製造現場だから関係ない」ツールから入らず「困り感」から入る
②責任の所在「失敗したら誰が責任を取るの?」「実験枠」として小さく始める
③予算と効果「投資の意義を数字で示してくれ」効果を「感覚」でなく「記録」で見せる

壁①「うちには関係ない」という温度差

DX推進の初期段階で最も多く聞いたのが、「うちは製造現場だからデジタルは関係ない」「今のやり方で困っていない」という声です。

これは「抵抗」というよりも、必要性を感じていないだけのケースがほとんどでした。私が取り組んだのは、「DXをやること」ではなく「今の業務の何が不便か」を先に聞くことです。困りごとを先に引き出し、そこにデジタルを当てはめる順番にしたことで、「確かにそれは助かるかもしれない」という反応が変わり始めました。

ポイント:ツールから入らず、「困り感」から入る。


壁②「失敗したら誰が責任を取るの?」

新しいツールやシステムを導入しようとすると、必ずと言っていいほど出てくるのが「責任の所在」問題です。特に、AI活用においては「AIが間違えた場合の責任は誰?」という懸念が強く出ます。

私の対応は、「実験枠」として小さく始めることでした。「試験的に1チームで3か月使ってみる」「問題があればすぐ止める」という設定にすることで、「大きな失敗」への心理的障壁を下げました。実際にやってみて問題がなければ横展開、問題があれば改善点を整理して再挑戦、というサイクルを作りました。

また、「最終的な判断・確認は人間が行う」というルールを明文化し、全員に周知したことも、安心感の醸成に役立ちました。

ポイント:「大きく始めて大きく失敗」より「小さく始めて学ぶ」を繰り返す。


壁③ 予算と効果の可視化

「DXに投資する意義を数字で示せ」という経営側からの要求も、実際には難しい問題です。業務効率化の効果は、「会議時間が○分減った」という定量指標で示せる場合もありますが、「意思決定のスピードが上がった」「属人化が減った」といった定性的な変化は数字にしにくいです。

私が試みたのは、「before/after」の記録を細かく残すことです。たとえば「議事録作成にかかっていた時間」「問い合わせ対応件数と処理時間」などを導入前後で比較し、「月あたり○時間の削減」という形で示しました。完全な費用対効果の証明は難しくても、定量的な変化の記録は経営への説明に大きく役立ちました。

ポイント:効果は「感覚」ではなく「記録」で見せる。


影響力の強い人の案件を優先する

壁を乗り越えるうえで、私がもう一つ意識したのが「最初に誰の案件に着手するか」です。

私が実践したのは、社内で影響力の強い人の案件を優先的に進めることでした。

裏に狙いがあります。影響力のある人の業務を改善できれば、その人が社内で自然に話してくれる。「あの人に頼んだら助けてもらえた」という評判が広がることで、次の依頼が来やすくなる。DX推進という仕事は、最初の実績をどこで作るかが普及速度に直結します。誰もが知っている人の課題を解決した実績は、名前の知られていない社員の案件を10件こなすより、社内への浸透効果が高い。

ビジネスの仕事術として、社内で大きな影響力を持つ人物を味方につけることは重要です。これは政治的な立ち回りというより、限られたリソースで最大の浸透効果を生む合理的な判断だと思っています。

ポイント:最初の実績は「誰に届くか」を意識して選ぶ。


「抵抗する人」を敵にしない

DX推進でよくある失敗のひとつが、反対派を「理解できない古い人」として扱うことです。私の経験では、抵抗する人ほど現場の課題をよく知っており、その意見を丁寧に聞くと導入の改善点が見つかることも多くありました。

産業カウンセラー養成講座で学んだ「傾聴・受容」の姿勢は、こういった場面でも役に立っています。相手の懸念を否定せずに受け止め、「どうすればその懸念が解消されるか」を一緒に考えるプロセスを踏むことで、反対派が「改善案を出してくれる協力者」になったケースもありました。

DX推進における抵抗者の変化フロー|傾聴から協力者へ


投稿者の所感

DX推進は技術だけの問題ではなく、組織や人への理解が土台にある仕事だと実感しています。ChatGPTやAIツールの使い方を学ぶことと同じくらい、「なぜ人は変化を嫌うのか」「どうすれば安心して新しいことを試せるか」を考えることが重要だと感じています。一人ひとりの働き方や価値観は違う。その違いを「面倒なもの」ではなく「組織を強くする多様性」として受け止めることが、長期的なDX推進の土台になると思っています。

もう一つ、私が大切にしているマインドがあります。得意なことは伸ばし、不得意なことは他の人でカバーできればいい——という考え方です。

企業が従業員一人ひとりにオールマイティなビジネスマンであることを強要している会社は少なくないと感じています。でも私はそれが正解だとは思っていない。強みを活かして役割を分担し、チームとして補い合う組織のほうが、長期的には強い。現職はありがたいことに自分の裁量で自由に活動させてもらえる環境なので、得意なことに集中して成果を出すことができています。これが今の働きやすさにつながっていると感じています。

本記事の内容はあくまで筆者個人の職場体験に基づくものです。組織・業種によって状況は大きく異なります。あくまで参考情報としてお読みください。


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ただの会社員

ただの会社員

AI/DX推進部 副部長|産業カウンセラー養成講座修了

地方在住の40代会社員。SE・PLを経てAI/DX推進に携わる副部長。情報処理安全確保支援士・ITIL4・AWS/Azure/GCP等30冠以上の資格を保有。転職で年収110万円アップの実体験をもとに、AI活用・資格学習・キャリア形成をリアルに発信しています。

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